運行形態による高速バスの商品内容の違い
『高速バス』には制度上、①路線バス会社による「高速乗合バス」と、②旅行会社による「高速ツアーバス」の2種類があり、
外形上は区別がつきにくいのですが、利用者の契約の相手方がバス運行の安全確保にどこまで責任を負うのかなどの違いがあります。
利用者から見た場合の主な違いについては下記のとおりです。
両者の違いをよくご理解頂いた上で購入される商品をお選び下さい。
①高速乗合バス
路線バスの一種。道路運送法に基づき路線バス会社が企画・販売・運行します。
契約の相手方である路線バス会社がバス運行の安全確保に責任を負います。
②高速ツアーバス
旅行商品の一種。旅行業法に基づき旅行会社が企画・実施し、貸切バス会社が運行します。
利用者の契約の相手方である旅行会社は、バス会社ではないのでバス運行の安全確保に直接の責任を負いません。
また、乗車場所にバス停留所標識は通常は設置されていません。
高速乗合バスと高速ツアーバスの主な違い
運行形態 | 高速乗合バス (路線バス)(※1) |
高速ツアーバス (募集型企画旅行)(※2) |
---|---|---|
利用者の 契約の相手方 |
路線バス会社(※3) | 旅行会社(※4) |
利用者との 契約の性質 |
運送契約 | 旅行契約 |
利用者との間で 適用される約款 |
乗合運送約款 | 旅行業約款 |
実際に運行を行う者 | 路線バス会社。(※3) 予約時点で確定しています。 |
旅行会社から運行を依頼された貸切バス会社。(※5) 予約時点では確定していない場合があります。 |
運行車両 | 乗合バス車両です。 | 貸切バス車両で「貸切」の表示があります。 |
利用方法 | 予約制の便でなければ予約していなくても当日空席があれば乗車できます。バス乗務員に運賃を払うことができます。 | 事前に契約が成立している必要があり、旅行代金は旅行会社に払います。 当日、バス乗務員に旅行代金を支払って乗車することはできません。 |
乗車までの手続き | バス停留所から直接乗車可能です。 | 予約時に指定された時刻までに、旅行会社から指定された場所で受付をしなければ乗車できません。 |
乗降場所 | 目印となるバス停留所標識が設置されており、乗降場所も決まっています。 | バス停留所標識は通常は設置されていません。 乗降場所が当日急遽変更される場合があります。 |
運行の確実性 | 予約客が一人でも運行されます。 | 最少催行人数に達しなかったときは、運行されない場合があります。 |
キャンセル時の 取り扱い |
払い戻し手数料が徴収されます。 <標準乗合運送約款の場合> 普通乗車券 100円 等 |
取り消し手数料が徴収されます。
<標準旅行業約款の場合> ①乗車日の前日から起算してさかのぼって 20日目~8日目 (日帰りの場合は10日目~8日目) 旅行代金の20%以内 ②乗車日の前日から起算してさかのぼって7日目以降 (③~⑤の場合を除く) 旅行代金の30%以内 ③乗車日の前日 旅行代金の40%以内 ④乗車日の当日(⑤の場合を除く) 旅行代金の50%以内 ⑤乗車後のキャンセル又は無連絡不参加 旅行代金の100%以内 |
事故時の対応(※6) | 事故処理や損害賠償は路線バス会社が行います。 | 事故処理や損害賠償は貸切バス会社が行います。なお、旅行会社は、標準旅行業約款に基づき補償金・見舞金を支払います。(死亡時1500万円/入院2~20万円/通院1~5万円) |
(※1)道路運送法に基づく一般乗合旅客自動車運送事業としての運行
(※2)旅行業法に基づく募集型企画旅行としての運行
(※3)道路運送法に基づく一般乗合旅客自動車運送事業者
(※4)旅行業法に基づく旅行業者
(※5)道路運送法に基づく一般貸切旅客自動車運送自業者
(※6)損害賠償債務が発生する場合